【テンプレート付き】ポジショニングマップの作り方とは?軸の決め方や戦略への活かし方について解説!

デジタル技術の発展により、製品やサービスを短期間で開発しやすくなった一方、市場には似た特徴を持つ商品が増え、明確な競争優位性を示せなければ埋没しやすくなっている。新規事業の立ち上げや既存製品のピボット、サービスの磨き込みにおいて重要なのは、自社がどの顧客に、どのような独自価値を届けるのかを明確にすることだ。

ポジショニングマップは、市場における自社製品やサービスと競合製品の関係性を、軸を用いて視覚的に整理するフレームワークである。本記事では、ポジショニングマップの基本的な考え方、軸の決め方、具体的な作り方、テンプレートを活用した整理方法、戦略へ活かす際の注意点を解説する。

ポジショニングマップとは?

ポジショニングマップとは

ポジショニングマップとは、市場における自社製品やサービスと競合製品の関係性を、二つの評価軸を用いて視覚的に整理するフレームワークである。

評価軸には、価格、品質、デザイン性、機能性、高級感、使いやすさ、サポート体制など、顧客が商品やサービスを選ぶ際に重視する要素を設定し、自社と競合の商品をマップ上に配置することで、各ブランドが市場内でどのような立ち位置を取っているのかを直感的に把握できる。

ポジショニング戦略の考え方は、アル・ライズ氏とジャック・トラウト氏によって広く普及した。両者は1972年にアメリカの広告専門誌Advertising Ageの寄稿シリーズ「The Positioning Era Cometh」でポジショニングの概念を提唱し、1981年の著書Positioning: The Battle for Your Mindによって理論を発展させた。

ポジショニングマップを活用すれば、競合との差別化ポイントや市場の空白領域を見つけやすくなる。

STP分析におけるポジショニングマップの位置付け

STP分析は、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字を取ったもので、市場を分け、狙う顧客を定め、自社が取るべき立ち位置を明確にする代表的なマーケティングフレームワークである。

ポジショニングマップは、このうち最後のプロセスであるPositioningを視覚的に整理・分析するために用いられる。例えば、価格と品質、機能性とデザイン性など、顧客が重視する二つの軸を設定し、自社と競合の製品やサービスを配置することで、市場内での立ち位置を把握しやすくなる。

なぜポジショニングマップが重要なのか?その目的

ポジショニングマップが重要なのは、市場における自社と競合他社の立ち位置を可視化し、自社ならではのUSPを明確にできるからである。

現在のユーザーは、インターネットやSNSを通じて常に多くの情報に触れ、複数の商品やサービスを比較検討しているため、スペックや品質が一定水準に達しているだけでは、顧客に選ばれる理由になりにくい。

企業側が自社製品は高品質である、サービス力に優れていると考えていても、顧客が同じように認識しているとは限らない。ポジショニングマップを活用すれば、競合との比較を通じて、自社の強みや弱み、訴求すべき独自価値を客観的に整理できる。結果として、差別化の方向性や優先すべき改善点を判断しやすくなる。

ポジショニングマップの作り方

ここでは、ポジショニングマップの作り方について解説していく。

ターゲットとKBF(購買決定要因)を洗い出す

ポジショニングマップの作成では、はじめにターゲットとKBF(購買決定要因)を洗い出すことから始める。

KBFとはKey Buying Factorの略で、日本語では購買決定要因と呼ばれ、顧客が商品やサービスを選ぶ際に重視する判断基準を指す。例えば、価格、品質、機能性、使いやすさ、デザイン、サポート体制、導入実績などが該当する。

ポジショニングマップでは、このKBFが二軸を考える際の基盤になるため、顧客視点から正しく把握することが重要だ。企業側の思い込みだけで判断すると、実際の購買理由とずれた分析になり、市場構造を正しく捉えられない。

ユーザーインタビュー、アンケート調査、口コミ分析、営業担当者へのヒアリングなどを通じて、顧客インサイトを具体的に整理する必要がある。

決定打になる2つの要素に絞り込む

次のステップは、決定打になる要素を2つに絞り込むことである。

ポジショニングマップでは、顧客が特に重視している要素と、競合との差別化につながる要素を選ぶ必要がある。この軸の選び方が曖昧だと、自社と競合の違いが見えにくくなり、戦略判断に使いにくいマップになってしまう。

また、二つの軸はできる限り独立性の高い組み合わせにすることが望ましい。例えば、高価格と高品質は相関性が高く、似た方向性の評価になりやすいため、市場内の違いを十分に表現しにくい。

一方で、機能性や処理速度といった物理的・機能的な軸に、安心感やブランドイメージといった情緒的・心理的な軸を組み合わせると、顧客から見た立ち位置をより立体的に把握しやすくなる。

自社と競合の情報を収集し比較する

軸となる2つの要素が決まったあとは、自社と競合の情報を収集し比較するステップへ移る。

ポジショニングマップを作成する際は、価格帯、品質、機能性、ブランドイメージ、デザイン、サポート体制、販売チャネルなど、競合となるサービスや会社の情報を集め、自社と競合の違いを整理する必要がある。

ただし、公式サイトや広告だけを参考にすると、企業側が打ち出した強みをそのまま受け取ってしまいやすい。顧客の口コミ、レビュー、導入事例、営業現場での比較理由なども確認し、実際に顧客がどう認識しているかを踏まえて分析することが重要だ。

また、すべての企業や類似商品を対象にすると情報過多になるため、市場シェアが大きい企業、ブランド認知が高い企業、顧客から比較対象として見られている企業に絞り込むとよい。

縦軸・横軸を設定し、各社を配置する

続いてのステップは、縦軸・横軸を設定し、各社を配置である。

選定した二つの軸をもとに、自社および競合他社の商品・サービスをマップ上へ配置していく。マッピングする際は、価格帯、機能数、処理速度、導入実績などの定量情報だけでなく、ブランドイメージ、顧客からの印象、使いやすさへの評価といった定性情報も反映することが重要だ。

また、自社が打ち出したい特徴ではなく、顧客が何を見て購入を決めているかを基準に考える必要がある。配置した結果、各ブランドが右肩上がりの直線状に並ぶ場合は、二つの軸の相関性が高い可能性がある。その場合は、相関性の低い軸に差し替え、再度マッピングを行うとよい。

空白地帯(ブルーオーシャン)を発見する

最後は、空白地帯(ブルーオーシャン)を発見することだ。

空白地帯とは、市場内で競合企業があまり参入していない領域や、顧客ニーズがあるにもかかわらず十分に満たされていないポジションを指す。多くの企業が似た価値を提供している市場では、差別化が難しくなり、価格競争に陥りやすい。

また、高品質市場でも、各社が機能や性能を競いすぎるとオーバーシュートが起こり、顧客にとって違いが分かりにくくなる。このような状況では、低価格でシンプルな価値を提供する新規サービスに置き換えられる可能性もある。空白地帯を見つけることで、自社が狙うべき独自の立ち位置を検討しやすくなる。

ポジショニングマップを作成する際の注意点

ここまで、ポジショニングマップの作成手順などを解説したが、実際に作成する際には以下の4つに注意いただきたい。

空白地帯を過信しない

1つ目は、空白地帯を過信しないことだ。

マップ上に競合が少ない領域が見つかると、新たな市場機会のように見えるが、必ずしも成長性や収益性が高いとは限らない。競合が参入していない背景には、需要が小さい、利益率が低い、顧客獲得コストが高い、技術や規制による参入障壁が大きいなど、合理的な理由が存在する場合がある。

特に成熟市場では、多くの企業が過去に市場検証を行った結果として、その領域を選んでいない可能性もある。誰もいない場所には相応の事情があると捉え、空白地帯を見つけた後は、顧客ニーズや収益性、実現可能性を慎重に確認することが重要である。

自社に都合の良い軸や先入観で、マップを作成しない

2つ目は、自社に都合の良い軸や先入観で、マップを作成しないことである。

最初から自社を有利に見せたい、競合より優れていると示したいという前提で軸を選ぶと、分析結果がその結論に誘導されやすくなる。この場合、客観的な市場理解ではなく、主観や思い込みを正当化するための資料になってしまう恐れがある。

例えば、自社が強い項目だけを評価軸にすれば、マップ上では優位に見えても、顧客が重視していない要素であれば実際の競争力にはつながらない。ポジショニング分析では、顧客データ、口コミ、購買理由、競合比較などの客観情報をもとに、顧客視点で軸を設定することが重要である。

高い・低い / 良い・悪いという優劣の軸を避ける

3つ目は、縦軸と横軸に設定する要素を抽象的にしないことだ。

例えば、「品質が高い」対「品質が低い」という構図にすると、品質が低い側は劣ったポジションとして見えやすく、分析結果が一方的な結論へ誘導されてしまう。ポジショニングは、優れているか劣っているかを判定するものではなく、市場内での違いや特性を整理するための考え方である。

そのため、多機能対単機能、フォーマル対カジュアル、専門特化対汎用対応のように、どちらの位置にも顧客ニーズが存在する軸を選ぶ必要がある。優劣ではなく選ばれる理由の違いを表現できれば、自社が狙うべき立ち位置をより正確に把握しやすくなる。

定期的に更新する

4つ目は、定期的に更新することである。

ポジショニングマップは、一度作成すれば永続的に使えるものではなく、市場環境、顧客ニーズ、競争状況の変化に合わせて見直す必要がある。現在は有効に見える立ち位置でも、時間の経過とともに競合の参入、代替サービスの登場、顧客の価値観の変化によって競争優位性を失う可能性がある。

特に近年は、デジタル化やSNSの影響により、情報の広がり方や購買行動が変化しやすい。数年前の競争環境を前提にしたままでは、実態とずれた判断につながるため、定期的にデータを更新し、現状に合った立ち位置を確認することが重要である。

ポジショニングマップと合わせて活用したいフレームワーク

最後に、ポジショニングマップの効果を最大限に引き出すことができるフレームワークを3つ紹介したい。

マーケティングミックス(4P分析 / 4C分析)

マーケティングミックス(4P分析 / 4C分析)は、企業が市場に対して効果的に価値を提供し、顧客との関係を構築するために、複数のマーケティング要素を組み合わせて設計する考え方である。代表的なフレームワークには、顧客視点で整理する4C分析と、企業視点で施策へ落とし込む4P分析がある。

4C分析では、顧客価値、顧客コスト、利便性、コミュニケーションの観点から、顧客が何を求めているかを整理する。そのうえで、4P分析の製品、価格、流通、プロモーションへ具体化する流れが有効だ。

ポジショニングマップで明確にした市場での立ち位置を、商品設計や価格設定、販売チャネル、訴求内容に反映させることで、戦略の実行力を高めやすくなる。

パーセプションマップ

パーセプションマップは、消費者が商品やブランドをどのように認識しているかを可視化するフレームワークである。ポジショニングマップと混同されることも多いが、パーセプションマップは企業が狙いたい立ち位置ではなく、顧客が実際にどう感じているかという心理的認識を重視する点に特徴がある。

例えば、顧客アンケートやインタビュー、SNS分析、口コミ分析などを通じて、各ブランドが高級感がある、親しみやすい、使いやすい、信頼できるといった印象で捉えられているかを把握する。その結果をマップに落とし込むことで、自社が意図した印象と顧客の認識にズレがないかを確認しやすくなる。

顧客視点の実態を把握することで、訴求内容やブランド改善の方向性を見直しやすくなる。

VRIO分析

VRIO分析は、Value(価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣困難性)、Organization(組織)の4つの観点から、企業が保有する経営資源や組織能力が競争優位性につながるかを評価するフレームワークである。

ポジショニングマップで市場の空白地帯や差別化要素を整理した後にVRIO分析を用いることで、自社がその立ち位置を本当に実現できるかを検証しやすくなる。例えば、狙いたいポジションが見つかっても、顧客に価値を提供できる技術や人材がなければ実行は難しい。

また、一時的に差別化できても、競合が簡単に模倣できる場合は優位性が長続きしにくい。VRIO分析を組み合わせることで、市場機会と自社資源の適合性を深掘りできる。

ポジショニングマップを戦略に活かすために

ポジショニングマップは、作成して終わりではなく、戦略判断に活かしてこそ意味がある。重要なのは、マップ上の位置関係をもとに、自社がどこで戦うのか、何を改善すべきか、どの市場機会を狙うべきかを具体的に決めることだ。

競合が集中している領域では差別化の難しさを確認でき、空白地帯が見つかれば新たな価値提供の可能性を検討できる。ただし、実行に移す際は、自社の強みや顧客ニーズとの適合性も見極める必要がある。

ポジショニングマップのテンプレート

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